検査で異常がないのに、なぜ痛むのか?

これをお読みいただいている方、ありがとうございます。

岐阜県多治見市の筋膜に特化した整体院「たじみ筋膜整体FLOW」の理学療法士、藤井祐輔です。

今回は痛みについて。

誰もが必ず一度は「痛み」を経験しますよね。

たとえば、「腰が重い」「首が痛い」「頭がズキズキする」
これらは単なる不快な感覚ではなく、身体からの重要なサイン。

痛みは、危険を知らせるためのカラダの防御反応です。

外傷や炎症、組織への閾値を超えた負担が起きたとき、 それ以上のダメージを防ぐために脳が「痛み」として認識させます。

しかし、実際の臨床では 「明確なケガや異常が見当たらないのに痛い」「検査では問題ないのにつらさが続いている」 というケースが少なくありません。

ここに、“痛みの本質”を理解するための大切なポイントがあります。

目次

痛みは組織だけで決まらない

痛みは、単純に 「悪いところ=痛むところ」 という関係ではありません。

近年の研究では、痛みは

  • その組織の状態
  • 神経の反応の強さ
  • 身体の使い方のくせ
  • 過去の痛みの記憶
  • ストレスや緊張

といった複数の要素が重なって生じることが分かってきています。

つまり、同じ状態の身体でもある人は痛みを感じ、ある人は感じないことが起こります。

この複雑な痛みを理解するために、重要な役割を持つのが筋膜です。

筋膜とは何か

筋膜は、筋肉だけを包む薄い膜ではありません。

筋肉、骨、関節、内臓、神経、血管までを全身で立体的につなぐ結合組織です。

この筋膜には、

  • 痛みを感じ取る受容器
  • 身体の状態を感知するセンサー

が沢山存在しています。

その数は、筋肉の10倍といわれるほど。

そのため筋膜の状態の変化は、痛みの感じ方に大きく影響してきます。

筋膜と痛みの関係

長時間の同じ姿勢、繰り返される動作、 寒さ、運動不足、過度な緊張など…。

こうした要因が重なると、筋膜は滑らなくなって硬くなり本来の弾力を失います。

(今このブログを書いている自分自身も、こんな姿勢になっていることに気づきました…)

筋膜が硬くなって滑りにくくなると、 本来スムーズに動くはずの組織同士に抵抗が生まれて、 わずかな動きでも負担が集中するようになってきます。

その結果、 筋肉や関節そのものに明らかな外傷や損傷がなくても、 筋膜を介して痛みの信号が強く脳へ伝えられるようになります。

これが 「原因がはっきりしない痛み」 「慢性的に続く違和感や重だるさ」 の正体の一つです。

なぜ痛みは長引くのか

痛みが続くと、身体はそれを 「危険な状態」として、脳や神経の中枢で学習していきます。

すると、本来は問題にならない程度の刺激でも、 脳が過剰に反応しやすい状態が残ります。

このように、痛みを処理する中枢である「脳」そのものが敏感になってしまう状態は、「中枢性感作」と呼ばれ、 実際の負担が小さくなっても痛みを感じやすい状態が続く原因の一つになります。

このとき筋膜の硬さが残っていると、

  • 動くたびに違和感が出る
  • 無意識に力が入る
  • さらに筋膜が硬くなる

という悪循環が生まれます。

痛みは 「今ここ」の問題だけでなく、 過去の身体の使い方や積み重ねの結果として現れている場合がとても多いのです。

痛みとどう向き合うか

痛みを感じたとき、 無理に我慢することも痛む部分だけを何とかしようとすることも、 必ずしも良い結果につながるとは限りません。

大切なのは、

  • 身体全体のつながり
  • 筋膜の状態
  • 動きの中でどこに負担が集まっているか

といった視点から身体を丁寧に観察することです。

筋膜が整ってくると、「体が信じられないほど軽い」 「動かしやすい」といった変化が先に現れ、 その結果として痛みが和らいでいくことが臨床では多くみられます。

まとめ

痛みは敵ではなく、身体が発している正直なメッセージです。

筋膜という全身をつなぐ組織の視点から身体を見直すことで、 痛みは「抑えるもの」から「理解し、整えていくもの」へと変わっていきます。

痛みの背景にある身体の状態に目を向けること。

それが、日常を少し楽に過ごすための大切な一歩となります。

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